クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
「えっ、ちょっと、あれ誰?」


「うわぁ、めちゃくちゃ美人なんだけど」


また、新たなどよめきがオフィス内にたちこめる。


「桐生課長。そろそろ会議のお時間です」


「ああ」


周りの声など気にも止めず、まるで彼女か奥さんのように桐生さんに声をかけたのは、あまりにも美しい聡明さを感じさせる女性だった。
見たこともない美麗な人間が、同じ空間に2人もいると、さすがに頭がバグる。


これは現実なのか――と。


「うわ、沙織さんじゃないですか!」


「あら、どうも。お久しぶりね」


「沙織さん、どうしてここに? 確か……海外勤務でしたよね?」


企画部門の女性の先輩が、突然その美人に問いかけた。


「ええ、そうよ。つい最近日本に戻ったの。やっぱり日本はいいわね。とにかく、よろしくね」
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