クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
「よろしくお願いします。でも、沙織さん、秘書さんなんですか? 以前は違いましたよね?」


「突然ね、拓……桐生課長に秘書になれって頼まれたのよ。ほんと、迷惑な話よね」


「すごいですね! さすが沙織さん。桐生課長のお気に入りなんですね」


「……お気に入り……ね」


「城之内。行くぞ」


桐生さんが、秘書の……城之内 沙織(じょうのうち さおり)さんという女性を連れ、部屋を出ていった。


いったい何だったんだろう、吹き荒れた嵐がスーッと消えてしまったような、わけのわからない状況に心がザワつく。


「綺麗ですね~。あの人、元広報部の城之内さんですよね? 海外に行ってさらに美人に磨きがかかった気がします」


震える手で必死にコピーしていると、隣でさっきの先輩が誰かと話す声が聞こえる。
盗み聞きしてるみたいで気が引けるけど、私の耳はそれを聞かずにはいられない状態になっていた。
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