クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由～隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる～

友達の気持ちと自分の気持ち

拓弥さんのドアの前。
自分からチャイムを鳴らすのは初めてだ。


「はい」


「あ、あの……」


「待って、すぐ開ける」


「ありがとうございます」


心臓がバクバクしてる。
瞬間的に、あの時のことを思い出す……拓弥さんとの……キスを。
あれから何度もあのシーンが頭に浮かび、私は勝手に体を熱くしていた。


ほんの数秒でドアが開く。


「入って」


拓弥さんだ――


「あ、あの、髪が濡れてます」


「今日は先にシャワーを浴びたから」


美し過ぎる――
あまりにも美し過ぎる。


半乾きの前髪が、拓弥さんの瞳にかかり、何とも色っぽい。この艶やかな姿に私の体温は一気に上昇し、潤んだ視線が緊張に拍車をかけた。


「あ、すみません。今日はおでんを作ったので、良かったら……ミルクティーのお礼に」


「いい匂いだ。一緒に食べよう」