クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
拓弥さん……
とても複雑な心境なのに、それでも、この言葉には胸を打たれる。


ただ、瑠香は、両手をこぶしにして力を込め、表情を歪ませていた。拓弥さんを想う気持ちは同じなのに、つらい表情の瑠香を見ていると、自分だけが幸せな気持ちでいることがとても苦しかった。


「2人でこそこそして、また高校の時と同じ。私の好きな人に告白されていい気になって。私の気持ち知ってて、今度は付き合うんだ」


「瑠香……」


胸を激しく何かが貫く。
とても、痛い。


「最低。詩穂はいつだって友達より男。それに、結局あなたは桐生グループの財力が目当てなんでしょ?」


「ち、違うよ! 財力なんか……」


「どうだかね。可愛子ぶってるけど、本当はお金が欲しいのよ。あなたがどうやって桐生課長を誘惑したか知らないけど、いつだってあなたはそうやって私から何もかも奪っていく! ほんと、最低な女!」
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