クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
愛する人と過ごす夜
「……ごめんなさい、拓弥さん。私のせいで……」


「君のせいじゃない。俺がもっとちゃんと言うべきだった」


瑠香がいなくなった部屋。
冷たい空気が漂う。


「いいえ。拓弥さんはちゃんと言ってくれました。ズルいのは私。私は……瑠香を友達だといいながら、ずっと苦手意識を持っていました。それでも、一緒に夢を追いかけた瑠香を突き放すことができなくて。難しくて、どうしたらいいのかわからない関係で……だけど、瑠香が不幸になるのは……やっぱり悲しい」


どうようもなく胸が苦しい。


「結局、人間と人間の間に正解はない。優しい君は、佐和田さんと縁を切ることはできなかったんだろう。『ハピプレ』で一緒に夢を見た佐和田さんのことを……。『ハピプレ』は、大切な人との思い出を繋ぐ場所。そこで築いた絆は簡単には壊せない。俺は……そう信じている」
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