クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由～隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる～

「突然、本社の企画部門に配属になったから。慌てて部屋を探したら、オフィスの近くのこのマンションがたまたま空いてて、すぐに契約した。そしたら、隣に君がいて……本当におど……」


「え……？」


言葉を詰まらせ、ほんの少し俯いた隙を狙って、私は「今がチャンス」とばかりに桐生さんの顔を食い入るように見つめた。
異次元的な魅力を持つその美しさは、この距離で見ると卒倒してしまいそうなくらいの破壊力。
こんな素敵な人と同じ部屋の空気を吸っているなんて信じられない。


「ごめん。まあ、せっかく同じ会社で働くことになったんだし、マンションの部屋も隣同士で、これも何かの『縁』だと思う。だから、今から俺と君、お互い名前で呼び合おう」


「えっ！ な、名前呼び？ 名前で呼ぶんですか？ そ、それはちょっと……」


「詩穂ちゃんだったね、よろしく」