クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由～隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる～

「わざわざ取りにきてもらうなんて良くない。俺が持っていくから。明日、仕事が終わってから2人でお届けしよう」


これは夢なのか？
あまりの急展開にまたパニックになる。
昨夜から今まで、超高速ジェットコースターに乗って絶叫しながら揺らされてる気分だ。


「……本当にいいんですか？」


「もちろん」


「……あ、ありがとうございます」


「じゃあ、明日。帰ったら連絡するから」


そう言って、私をドアの前まで送ってくれ、「おやすみ」と挨拶を交わし、拓弥さんは隣のドアに吸い込まれていった。


部屋に戻った瞬間、ソファにダイブするように横たわり、私はただぼーっと天井を見つめた。


「そっか……。ご飯食べてなかったな……」


拓弥さんと話した後は、食べたいという「欲」がすっかり消え失せてしまう。
このままいけば、少しはダイエットできそうだ。
そしたら、拓弥さんに褒めてもらえるのかな？


……なんて、とんでもなくバカなことを考えている私は、本当にどうかしてしまったのかも知れない。
私のことなんて、拓弥さんは何も意識していないのに、勝手に何かを期待している自分が死ぬほど恥ずかしく思えた。