クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
「浅子さん。これ、果物をお持ちしました。いただき物で申し訳ないですが、良かったら皆さんで食べて下さい」


「あらまあ、嬉しいわ~。浅子さんだなんて幸せ過ぎる」


両手でほっぺを包み込み、果物よりも「浅子」呼びされたことが嬉しくて、本気で照れまくっている。お父さんは呆れ顔をしているけれど、お母さんは、そんなことは全く気にしていない様子だ。


「ズルい! 桐生さん、私も『真穂』でお願いします」


真穂まで手を合わせて拝んでいる。
2人とも、桐生さんをご利益のある仏様か何かと間違えているようだ。


それでも、さっきから嫌な顔ひとつせず、ずっと笑顔を絶やさずにいてくれる桐生さんは……もしかして本当に「仏様」なのかも知れない。


「真穂さんも、果物はお好きですか? 良かったらたくさん食べて下さいね」
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