クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
秘書のひみつ
「姫川さん」


フロアで突然苗字を呼ばれて振り向いた。
そこに立っている女性は、眩いオーラに包まれて、ひときわ輝きを放っていた。


「あっ、はい、城之内さん」


桐生課長の秘書の城之内 沙織さん。
相変わらず女優ばりに美しい。


「ごめんなさい、お願いしてた書類をいただけるかしら?」


「はい、桐生課長のですよね? すぐにお持ちします」


「ありがとう。あっ、ねえ、姫川さん。今夜少し時間あるかしら? 良かったら一緒にご飯行かない?」


嘘みたいだった。
才色兼備な秘書の城之内さんが、私みたいな平凡な人間をご飯に誘うなんて。


「あ……えと……」


「何か予定があるのかしら?」


「いえ、予定はないです。私でよければ……」


「良かったわ。じゃあ、またあとでね」


断る理由もなくついOKしたけれど、城之内さんは私とご飯を食べて楽しいのだろうか?
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