クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
「ごゆっくりお過ごしくださいね」


「ありがとうございます」


亜里さんは、城之内さんにアイコンタクトしてからその場を去った。


「疲れたでしょ? お腹も空いたわよね」


「あ、はい。少し」


「詩穂ちゃんは本当に可愛い人ね」


「し、詩穂ちゃん?」


「もう名前で呼んでもいいでしょ?」


「えっ、あっ……はい」


美しい瞳に見つめられ、なぜか一瞬目を逸らしてしまった。


「私も城之内じゃなくて沙織でいいから」


「そっ、そんな!」


「いいのいいの。気軽に呼んでちょうだい」


「……本当にいいんでしょうか?」


「もちろんよ」


「……じゃあ……沙織、さん」


「うんうん、それでいいわ。でも……本当に可愛いわよね、詩穂ちゃんは」


「えっ、あ、あの、だから、からかわないで下さい」


さっきから沙織さんのペースに乗せられている気がする。


「あら、ごめんなさい。何だかね、詩穂ちゃんを見てるとつい意地悪したくなっちゃうの」


か、可愛い……
沙織さんのキュートな笑顔に思わずキュンとする。
まさにこれこそが「可愛い」というものだ。
美人だし可愛い表情もできて、この人は「女性」として無敵だと思った。
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