クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由～隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる～

「私はね、お金や権力に群がる女から逃れるためのバリケード役なのよ」


「えっ？」


「ね、ひどいでしょ？」


そう言って笑う沙織さんは、何だか私の印象を大きく変えた。


「……とても信頼してるんですね、沙織さんのことを」


「まあ、私はご覧の通り男っぽいしね。きっと、何でも相談できる男友達くらいに思ってるんじゃないかしら」


「そんな。沙織さんこそ、ご自分の魅力を全然わかってないです。男っぽくないし、めちゃくちゃ綺麗で、女性の憧れです。あんな風になりたいって、みんな言ってます。もちろん私も」


「あら、嬉しいこと言ってくれるんだ。詩穂ちゃん、やっぱり可愛い」


その瞬間、沙織さんが私の手にそっと触れた。
丁寧にネイルされたとても美しい手だ。


何だかものすごくドキドキする。
この感覚は初めてだ。


「可愛いなんて、さっきから冗談だとわかっていても、沙織さんに言われると……やっぱり嬉しいです」


「当たり前よ。だって、あなたは魅力的なんだから。詩穂ちゃんにはつまらない男と付き合ってほしくないの。だからね、もっとちゃんと自分を知って、1番近くで詩穂ちゃんのことを見守ってる男に早く気づいてほしいの」