クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
「……そんなことはないよ」


「まさか! 拓弥さんがモテなかったはずないです」


「別にたいしたことない。普通だよ」


だから、「普通」のはずはない。
学生時代の拓弥さんがどれだけモテていたのか、私には想像もつかないけれど、バレンタインデーにチョコをもらった数は聞いてみたいと思った。


「私も、学生時代の拓弥さんに会ってみたかったです」


「そうだな、俺達、もっと昔に出会っていたら……」


「えっ?」


「……人生はそう上手くいかない。でも、簡単ではないから、そこに向上心や諦めない気持ちが現れるのかも知れない。人として鍛えられているのか……」


「拓弥さん?」


「あ、いや。何でもない」


拓弥さんの言葉には重みを感じたけれど、それがどういうことを言っているのか、正直、私にはわからなかった。


私達は、それから閉園まで存分に「ハピプレ」を楽しみ、本当にただの「フレンド」として、2人きりの幸せな時間を終えた。
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