【受賞】ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
「なんでしょう?」
「二人が恋人って嘘ですよねえ」
 直球の質問に、柚花はぎょっとした。
 が、京吾は表情を変えることなく萌美を見返す。

「本当ですよ。しかし仕事中ですからその話はやめましょう」
「えー、でも私、困ってることがあってえ。安曇さんなら助けてくれるかなって思って」

「仕事のことならいつでも相談に乗りますよ」
「私、お店で男の人につきまとわれててぇ、仕事が終わってからゆっくり聞いてほしいな」
 萌美は胸の前で両手を組んで、うるうると京吾を見る。

「そういうことは警察に相談に行ったほうがいいですよ。店頭で困っていれば、都度、言ってください。対応を代わります」
 すぱっと京吾が言い切り、萌美は目を丸くした。が、さらに食い下がる。

「例えば安曇さんが恋人になってくれたら解決すると思うんですけど」
 柚花は唖然とした。今しがた、恋人がいると言った人に言うことではない。

「柴原さん、関口さんとつきあってるのよね?」
 思わず言った直後、萌美にぎいっと睨まれてのけぞった。が、すぐに萌美は表情を戻している。

「関口さん? ああ、喜勢丹の」
 京吾の言葉に、萌美は目を潤ませて京吾を見た。

「嘘なんです。私、男につきまとわれることが多くってえ、偽の彼氏になってもらったんです。本当の彼氏がいればそんなこと頼まなくてもいいのになあ、って思います」
 柚花は唖然とした。
 しかし、と疑問に思う。
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