【受賞】ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
「ダイヤが大きすぎるとあちこちひっかかっちゃうし、困っちゃう。せっかくのプレゼントだからずっと大切にしたいの」
 女が上目遣いで見ると、男はへらっと頬を緩めた。

「そうか、ならそれにするか」
 男はカードを取り出し、「一括で」と柚花に渡す。
「かしこまりました」
 柚花はいったん指輪をお預かりしてカードを受け取る。

 カウンターに出していたほかの指輪は下げ、お会計のために奥に行く。
 が、カードはエラーが出てはじかれた。

 おそらくは限度額に達しているのだろう。
 店に戻り、男性にそれを伝える。

「申し訳ございません、こちらのカードはご利用になれないようでして」
「そんなわけないだろ!」
 男性はムッとして言い返す。女性の前で恥をかかされたと思ったのだろう。

「ですが」
「俺をバカにしてるのか!」

「決してそんなことは」
「もういい! こんな店二度と来るか! 行くぞ!」
 カードをひったくるようにして取り上げると、男性は女性を連れて店を出て行った。

 男性が大声を上げたので、周囲の店の人たちまで柚花を注目している。
 柚花は悄然とため息をついた。
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