「お前を愛することはない」私も魔獣以外愛する気はありませんの。お揃いですわね
「わたくしは、狼さんが好きですもの。誰より、何よりも」
「クロエ……」
「ですから、無理に人型を保たなくても構いませんわ」
「――お前を傷つけるようなことを言って、悪かった」
「気にしていません。安心して、本来の姿にお戻りくださいませ」
申し訳無さそうに視線を下に向けてか細い声で告げるヴァクトへ優しい言葉をかけた彼女は、彼が再び獣へと姿を変える瞬間を心待ちにする。
「その前に、これだけは伝えさせてくれないか」
「なんですの?」
「すべてを受け入れてくれて、本当にありがとう」
「どういたしまして」
「――俺はお前を、愛している」
額に口付けを落とした王太子を次に目にした時には、いつもの見慣れたもふもふとした毛並みに戻っていた。