眠りの令嬢と筆頭魔術師の一途な執着愛
 ヴェルデの気持ちが嬉しいと同時に申し訳なく感じてしまう。

「ローラ、あんな選択肢しないで。俺の前からいなくなるなんて、あんなお別れの言葉を言うなんて許せないよ。俺はローラがいないこの世なんて考えられない」
「ヴェルデ様」

 ヴェルデのローラを抱きしめる力が強まって苦しいくらいだ。それでも、ローラはヴェルデに身を委ねていた。

「ごめんなさい、ヴェルデ様。ああするしかなかったとはいえ、ヴェルデ様にお別れを言うなんて……私も、辛かったです」
「でもローラの顔は覚悟を決めたすっきりとした顔だった。ローラのそういう潔さは素敵だと思うし、そういうローラのことが好きだよ。でも、だから余計に俺は……仕方ないってわかってるけど許せないよ。許したいけど許せない。俺自身が一番許せない」

 ローラを抱きしめながらヴェルデはふーっと息を深く吐いた。そして、ローラからゆっくりと体を離してローラの顔を覗き込む。

「もう二度と、ローラにあんな選択はさせない。どんなことがあってもローラを守って、ローラの命を狙いローラに近づく奴らはローラに出会う前に叩き潰す」

 そう言うヴェルデの顔は決意に満ちていて、ゾッとするほどの恐ろしさを秘めている。そんなヴェルデの顔を見て一瞬ローラがビクッと体をこわばらせると、ヴェルデはすぐに悲しげな顔になった。

「ごめんローラ。こんな俺、怖いだろう。でも、ローラのことを思うと気持ちが抑えられないんだ。俺からローラを奪おうとする奴は絶対に許せない。ローラの明るい未来を踏みにじろうとする奴は、俺が絶対に許さない」

 そう言って、またヴェルデはローラを抱きしめた。ローラの予想を超えて、いつもヴェルデは大きな愛を惜しみなくぶつけてくる。本来であれば怖がってもおかしくないのかもしれない。でも、ローラはヴェルデからのそんな愛情表現を、心の底から怖いと思うことはなかった。

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