ロマンスに心酔



「あ、あの、そういえば⋯⋯」


「ん、なに?」


「ストーカー撃退のための、か、仮の、恋人関係は、もう、解消で、すよね⋯⋯?」


「あー⋯⋯」


意を決して尋ねると、せんぱいは忘れていたのか、少し気まずそうな顔をした。


「ま、そうだな、そうしようか」


「は、はい。あの、会社には⋯⋯」


「ああ、そのうち別れたことにしとくよ」


「あ、りがとう、ございます」


わかってる。残念な気持ちを抱くのは間違っている。

いつか本物になれるように、頑張ればいいだけだ。


気まずい空気が流れている気がする。

振り切るように咳払いをして、お味噌汁を一口飲んだ。

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