御曹司様、あなたの子ではありません!~双子がパパそっくりで隠し子になりませんでした~
横で聞いていた私は、笑顔のまま頭に疑問符を浮かべる。今の会話は、どういう……? 不思議がっている私に、メアリーが照れくさそうに説明してくれる。

「カエデ。この着物、モミジに見立ててもらいマシタ」

「えっ。あっ、そうなのっ?」

初耳だ。というか、見立てたってなに? あ、だから紅葉まで和装をしているの? もしかしてお揃い?

いつの間にそこまで仲良くなっていたのか、そもそも連絡先を交換していたことすら知らなかった。もしかして、さっき言ってた日本語の先生って紅葉のこと?

ぽかんとする私をよそに、すでに紅葉とメアリーは「髪型も素敵だね」「本当デスカ? 結ぶか、下ろすか、とても悩みマシタ」「その方が絶対かわいいよ」とふたりだけの世界に入っている。

蓮兄が私に向けてぽつりと漏らした。

「我が家で独身は俺だけになるかもな」

しっかりしていて高収入で顔もそこそこなのに、なぜか縁に恵まれない兄が、ちょっぴり寂しそうな顔をする。絶対にいい旦那さんになるだろうに、世の中ってなかなかうまくいかないものだ。

「頑張って、蓮兄。かわいいお嫁さん見つけてね」

私がきゅっと腕に力を込めると、蓮兄はまいったように苦笑した。

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