ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「寒くなりそうですねぇ。クリスマス寒波かな。はぁー、仕事行きたくないよー」

 手をつないで歩きながら、ガクくんが甘えるようにすり寄ってくる。もう、本当にかわいいんだから。

 私の前だとこうして文句を言うけれど、MISTEROではマスターの言うことをよく聞いて、しっかり働いているみたい。やっぱり、働くこと自体が嫌なわけではないのよね。

 帰宅すると、ガクくんはいつものように夕飯の支度をはじめた。

「レンジで2分、温めてくださいね。サラダもありますから」
「うん、ありがとう」

 自分が仕事の日は、レンジでチンできるメニューにしてくれる。ドレッシングも手作りしているし、本当にきめ細やか。

 彼にとってこれが仕事だとしても、毎日心を尽くしてくれていることに、きちんと感謝を示したい。だから悩みに悩んで、私はひそかにクリスマスプレゼントを買っていた。

「あの、ガクくん」

 着替えているガクくんに声をかける。いつも仕事着で出勤して、そのまま帰ってくるのよね。絶対に寒いでしょう。

「はい、これ」
「え、なんですか?」

 私が差し出した紙袋を見て、ガクくんは目を瞬かせた。

「数日早いけど、クリスマスプレゼント。その……日々のお礼も兼ねてというか……」
「え! ありがとうございます! これ、ポール・スミスですよね。開けていいですか?」
「うん」
 
 ガクくんが、とても丁寧にラッピングをほどいていく。こういうところを雑にしないのも、彼の長所だと思う。
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