ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 しばらくして、湯はりが終わる合図とともに、ガクくんが戻ってきた。

「溜まりましたよぉ。お先にどうぞ!」

 あれ? やっぱり私が先? だけど洗面所で、なにかゴソゴソやっていたし……自分が入る支度をしていたわけじゃないの?

 首をひねりながら洗面所へ向かうと、なんとなく普段と違う雰囲気。不思議に思ってバスルームのドアを開けると、そこには驚きの光景が広がっていた。

 浴槽に浮かべられた色とりどりの花を、幻想的で優しい光を放つアロマキャンドルが照らしている。いつものバスルームが、まるで別世界のよう。

「僕からのクリスマスプレゼントです。お金がなくて、こんなことくらいしかできませんけど……彩女さん、お風呂に入るのが好きだし、少しでも癒しになればなぁって」

 花もアロマキャンドルも、こんなにたくさん……きっと安くなかったわよね。先日マスターからお給料をいただいていたようだけど、勤務日数が少ないし、さほど貰っていないはず。

 MISTEROのお給料はガクくんの好きに使っていいという決まりにしているのに、私のために使ってくれるなんて。胸がいっぱいになって、涙がこみ上げてくる。

「じゃ、ゆーっくり入ってくださいね」
「待って」

 洗面所から出ようとするガクくんを呼び止めた。
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