ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「ガクくんは、いつからここに? 私が2週間前に来たときは、いなかったと思うけれど」
「じゃあきっと、その直後です。フラフラしていたから、涼介さんに引っ張ってこられたんですよね。僕、就活もしなかったんです」
「なにか理由でも?」
「クローンみたいなリクルートスーツを着て、準備したセリフと愛想笑いを振りまくのが嫌で」
ガクくんがウイスキーをひと口飲んで、ふぅと息をつく。さっきまでと別人のような物憂げな表情には、どことなく色気を感じた。
「そうまでして入った会社では、用意された型に詰め込まれて、右へならえを押しつけられるでしょう。なんだか息苦しくて」
「確かに、日本企業の新卒一斉採用は、そういう面があるかもね。私は経験していないから、分からないけれど」
「え、そうなんですか?」
あ、また子どもみたいな顔に戻った。
「アメリカの大学に通っていて、そのまま向こうの会社で内定をもらったの。日本と違って、アメリカは基本的に新卒枠なんてないのよ」
「へぇ~……でも、どうしていまは日本に?」
「母が病気になってしまったから」
脳梗塞だった。パート中に激しい頭痛を訴えて緊急搬送され、そのまま入院。処置が早かったし手術も無事に成功したから、幸い重篤な後遺症も残らずに済んだ。
だけどあのときは、普段は冷静な父もかなり狼狽していた。3つ上の兄はすでに就職していて地方にいたし、そんな状態の父を放っておけなくて。アメリカでの就職を諦めて帰国することになった。
「じゃあきっと、その直後です。フラフラしていたから、涼介さんに引っ張ってこられたんですよね。僕、就活もしなかったんです」
「なにか理由でも?」
「クローンみたいなリクルートスーツを着て、準備したセリフと愛想笑いを振りまくのが嫌で」
ガクくんがウイスキーをひと口飲んで、ふぅと息をつく。さっきまでと別人のような物憂げな表情には、どことなく色気を感じた。
「そうまでして入った会社では、用意された型に詰め込まれて、右へならえを押しつけられるでしょう。なんだか息苦しくて」
「確かに、日本企業の新卒一斉採用は、そういう面があるかもね。私は経験していないから、分からないけれど」
「え、そうなんですか?」
あ、また子どもみたいな顔に戻った。
「アメリカの大学に通っていて、そのまま向こうの会社で内定をもらったの。日本と違って、アメリカは基本的に新卒枠なんてないのよ」
「へぇ~……でも、どうしていまは日本に?」
「母が病気になってしまったから」
脳梗塞だった。パート中に激しい頭痛を訴えて緊急搬送され、そのまま入院。処置が早かったし手術も無事に成功したから、幸い重篤な後遺症も残らずに済んだ。
だけどあのときは、普段は冷静な父もかなり狼狽していた。3つ上の兄はすでに就職していて地方にいたし、そんな状態の父を放っておけなくて。アメリカでの就職を諦めて帰国することになった。