ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「脳梗塞ですか。それは、大変でしたね……」
「でもね。内定をもらっていた企業が日本法人に私を紹介してくれて、働き口はすぐ決まったの。それが、いまの会社。やるべきことをやっていれば基本的にどこでなにをしていてもいいから、日中でも母の病院へ行けて……数か月は家と病院と会社をグルグル回っていたって感じ」

 働き方の自由度が高い代わりに、内容は激務だったわけだけど。夜中の3時まで働いて、3時間ほど睡眠をとったら、また仕事という感じ。

 もう一度そんな生活をしろと言われても無理だと思うほど、あのときは無我夢中だった。

「あ……私の話になっているじゃない。ガクくんの話だったのに」
「僕はもっと、彩女さんの話が聞きたいですけど」

 ガクくんが、柔らかく微笑む。

 なんだろう。彼に話を聞いてもらうのが、すごく嬉しい。やっぱり、マスターと同じ血筋だからなのかな。聞き上手なのかもしれない。

「お仕事は、楽しいですか?」
「そうね。だけど楽しいと思えるようになったのは、本当に最近。私が勤める会社は世界最大規模のコンサルティングファームだから、業務内容がとにかく難しいの。自分には向いていないって、何度も思った」

 負けず嫌いな私は、子どものころから勉強にスポーツに、なんでも全力で取り組んでいた。そのおかげで、成績は常にトップ。それだけ努力をしている自負もあって、プライドは高いほうだったと思う。
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