ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 この期間限定のスケートリンクは、電気ではなく樹脂を使用したエコなリンクで、転んでも服が濡れない。そしてリンク中央には巨大な猫のアートオブジェがあって、夜になるとライトアップされて幻想的な雰囲気に包まれるそう。

「彩女さんは、スケートしたことあります?」
「子どものころに、何回かだけね。ガクくんは?」
「僕も同じです」

 受付で借りたスケート靴を履きながら、ガクくんは子どものような表情で白い歯を見せる。
 てっきりよく来るのかと思いきや、彼も久しぶりなのね。それなのに、どうして突然ここへ来ようと思ったのかな。

 よく分からないけれど、せっかくだから思いきり楽しむことにした。

 スケートなんて、何年ぶりかしら。多分、小学生のとき以来……20年くらい前になる?

 平日のお昼すぎだから、お客さんはまばら。そのぶん自由に滑れそうだけど、おそるおそるリンクに足を踏み入れて、まずは少しだけ壁伝いに歩いてみた。

 ちゃんとバランスは取れるわね。試しに手を離して滑ってみると、思いのほかスイスイ進んだ。あ、楽しいかも。
 
「ち、ち、ちょっと待ってぇ、彩女さぁん」

 後ろから、ガクくんの弱々しい声が聞こえた。

「むむむ無理、立てない~!」

 まるで産まれたての小鹿のように、脚がブルブルしている。ガクくんって、運動は苦手なのかな?
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