ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 ローストビーフは絶妙な焼き加減でとても柔らかいし、サラダにかかっているドレッシングの爽やかな酸味が食欲を増進させるし、パンはもっちりふわふわ。

 これを作ってくれているガクくんの姿を想像したら、胸がじんわりと温かくなった。

 大阪でいろいろな飲食店へ行ったけれど、この料理に勝るものなんてない。毎日食べ続けても、絶対に飽きないわ。

「はぁ、直帰してよかった……どれも美味しすぎる……」
「あ、会社には寄ってこなかったんですね」
「うん。ガクくんのごはんが、早く食べたかったから」
「そこは『早くガクくんに会いたかったから!』じゃないんですかぁ?」

 パンをもぐもぐ咀嚼しながら、ガクくんが笑う。
 会いたかったに決まっているじゃない。この笑顔が、なによりも癒しなんだから。

「1週間ぶりに、時間をかけて料理しましたよ。自分が食べるだけだと、なぁんか気合いが入らないんですよねぇ。連日、肉野菜炒めとお味噌汁でした」
「そうなの? ガクくんって、自分で作って食べるのも好きなんだろうと思っていたけど」
「ん~……彩女さんと暮らしはじめて気がついたんですけど、喜んでもらえるのが好きみたいです」

 そういえば、ガクくんは子どものころから料理をしてきたと言っていたっけ。親御さんと一緒に作っていたのかしら。
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