ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 あ、ダメダメ。また勝手に妄想してしまった。
 適度な距離、適度な距離よ。家族関係はプライベートなことなんだから、私なんかが足を踏み入れたらいけない。

 でも、人に喜んでもらうのが好きなら、飲食業向きよね。料理の腕はプロ並みだし。
 ……これくらいなら、訊いてもいいかな?

「ねぇ……ガクくんは、料理を仕事にする気はないの?」
「ありませんよ」

 あっさり即答する。やっぱり、そうなのね……。

「MISTEROでも作って出していますけど、僕は彩女さんに喜んでもらうのが好きなだけですから」
「そっか……家で作るのと、仕事としてお店で出すのとは違うものね」

 私が言うと、ガクくんはなぜか唖然とした表情で見つめてきた。
 な、なに? 私、変なことを言った?

「彩女さんって……いや、やっぱりなんでもないです」
「え、ど、どうしたのよ」
「いやいや、大丈夫です。彩女さんが鈍いのは、分かっているので」

 鈍いって……MISTEROで仕事として料理を出すよりも、家で気ままに料理をするほうが好きってことでしょ。違うの?

 よく分からないけれど、彼はもうこの話題に興味を失った様子。
 ガクくんって、こういうところがあるのよね。説明を頑張らないというか、伝えるのを諦めてしまう感じ。
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