ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「沈黙は肯定と受け取りますね」

 私の答えを聞く前に、ガクくんが覆いかぶさってくる。

 私だって、本当は抱き合っているだけでも十分。もっと言えば、同じ空間で過ごせたら、それでいい。
 そう思っているはずなのに、いつも「もっと」を求めてしまうのは、どうしてなんだろう。
 
 1週間ぶりのガクくんの体温。やっぱり、なによりも心地いい。

 私の反応を見ながら、たまに意地悪になる目が好き。溶けてひとつに混ざり合うような、丁寧なキスが好き。ゆっくり満たしてくれる、優しい手が大好き。
 そのしぐさのひとつひとつに、ガクくんの性格が表れているのを感じる。

「彩女さん、すぐイッちゃいますね」

 前戯だけで、もう何回達してしまったんだろう。彼に触れられるだけで、体が悦んでいる。

 最初は、あんなにぎこちなかったくせに。たった2か月で、もう私のすべてを知り尽くしている。

「かわいい……大好きです」

 耳元でそう囁いたあと、ガクくんが中へ入ってきた。そのまましばらく抱き合っていると、境目がなくなってしまうような感覚になる。

 だけど、体はゼロ距離なのに、心はこれ以上近づけない。

 そもそもどうして私は、近づきたいと思っているの? 自分がなにを望んでいるのか、よく分からない。
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