ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「ビル内へ入るには入館証がいるから、私がエントランスまで取りに行くわね。着いたら連絡して」
「はぁい。あ、でも大丈夫ですか? もし会社の人に見られたら、恥ずかしくないですか?」
「大丈夫よ。いつも大勢が出入りしているし、デリバリーの人もよく来るから」
「それじゃあ、いつも以上に気合いを入れて作りますからね!」
「うん。それを楽しみに、仕事を頑張るわ」

 ガクくんのお弁当はいつも絶品で、冷めても美味しいように工夫されている。職場のリフレッシュルームにレンジはあるけれど、時間がなかったり混雑していたりした場合を考えて……とのこと。

 それなのに、できるだけ作りたてを食べてもらいたいなんて。本当に、どれだけいじらしいのかしら。

 外食より節約になるから最近は支出が大きく抑えられているし、バランスよく食べているおかげで体も軽いし、ガクくんと出会ってからいいことばかりね。

「彩女さーん」

 寝るのかと思いきや、ガクくんが私の胸に顔をうずめてきた。

 こんなふうに甘えられると、条件反射で頭を撫でてしまう。だけどガクくんも、それを心地いいと感じてくれているみたい。

 特に会話のないこういう時間も、とても愛おしく感じる。

 しばらくそうしているうちにガクくんの寝息が聞こえてきて、私も深い眠りへと落ちていった。
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