ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「無理せず素のままの自分を見せられて、味覚も合う。そんな人と出会えるって、幸せなことよ」
「そうね……」

 家族と過ごすよりも気楽で、お互いに足りない部分を補い合っている。本当に貴重な存在だと思うけれど、だからこそいまの関係を維持したいと思ってしまう。

「しかも体の相性もいいなんて、最高じゃない」
「そこは、別に」
「それも大事なことよ? 性的不調和も、別れる原因として多いんだから」

 そうなのかもしれないけれど、セックスに関しては、これまで特に気にしたことがなかったというか。いつも「こんなものだろう」という感じだったのよね。

 自分から求める気持ちが出てくるのは、ガクくんが初めて。それはつまりただの性欲ではなくて、彼に対する感情によるもの。そんなことは、とっくに理解していた。

「まぁ、彼とどうなりたいか、結局は彩女が決めることだけどさ。でも、できるだけ後悔しないようにね」
「うん……ありがとう」

 今日、ガクくんと一緒にいるところを見られたのは、自然な流れなのかもしれない。こうして凛子と話すことで、自分の気持ちは明確になった。

 だけど、その先はまだ分からない。いつ終わるか分からない薄氷の関係を続けるのか、自分の気持ちを伝えてガクくんの意向を確認するのか。
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