ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 だけど彼はまだ若いから、友だちと遊びに行くことだってあるわよね。

 24時間縛りつけたいわけじゃないし、MISTEROのお仕事さえちゃんとしてくれたら、家事よりプライベートを優先してくれてもいいんだけど。

 とりあえず「気にしないで、ゆっくりしてきて」と返事をすると、自宅の最寄り駅に着いたところで、ガクくんから電話がきた。

「ごめんなさい~! 終電逃しちゃったので、いまからタクシーで帰ります!」
「どこから帰るの?」
「新橋なので、30分くらいで着くと思います」

 結構近くにいたんだ。それならもっと早く連絡して、一緒に帰ってくればよかったな。
 と思っていると、電話の向こうから若い女性の声が聞こえてきた。

「ガク、タクシー捕まえたよ。私も同じ方向だから……って、ごめん。電話中か」

 ……呼び捨てだし。え、待って。同じ方向ってことは、タクシーに同乗するってこと? いやいや、その前に、女性とふたりで飲んでいたの? 呼び捨てにするくらい親しい女性と?
 
「彩女さん、お腹空いていますよね。帰ったらパパっとなにか作りますから、待っていてくださいね」
「あ、うん……だ、大丈夫よ。気にしないで」
「そうですか? とりあえず、タクシー乗りまーす」

 いつも通りの調子でそう言って、ガクくんは電話を切った。
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