ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「私が無駄に打たれ強いので、大丈夫ですよ。荒波に揉まれてばかりですから、ちょっとやそっとじゃ壊れませんし」
「あはは、頼もしい。きっとガクは、彩女さんのそういうところが好きなんでしょうね」
「そ、そうなんですかね……」

 女らしくなれないと悩んでいた私にとって、こういうタフな部分を好きだと思ってもらえるのであれば、とても嬉しい。
 やっぱり私たちは、正反対な部分が多いからこそバランスがとれるのかな。

「そういえば、ガクにもチョコを買ったんですか?」
「あ、はい。チョコブラウニーを」
「あぁ、ガクが一番好きなお菓子ですからね」
「そうみたいですね。お店指定でリクエストされました」

 そう、今日はバレンタインデー。だからマスターにも、日ごろのお礼を兼ねてチョコを渡した。
 ガクくんは自らリクエストしてきたから、悩まなくて済んだわ。

「子どものころから、チョコブラウニーが好きなんですよ。ガクの母親が、よく作っていたみたいで」
「そうなんですか」
「……やっぱりガクは、家族の話をしませんか?」

 私が頷くと、マスターは寂しそうな笑顔を見せた。やっぱり自分の兄と甥っ子が不仲だと、悲しいわよね。

 恋人になったとはいえ、私のスタンスは変わらない。ガクくんが話したくなるまで、こちらからは触れないようにしている。
< 163 / 278 >

この作品をシェア

pagetop