ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 誰かのため、というのはおこがましいけれど、自分のできることで人の役に立ちたいという気持ちは、私と彼に共通しているのかもしれない。

 これまではクライアントに対してだけだったのに、いまはガクくんの役に立ちたい気持ちも強くなっている。エネルギーのほとんどを仕事につぎ込んでいた私が、まるで違う人間になったみたい。

 だけど、ガクくんと出会ってからの自分も悪くないと思う。彼と一緒にいるときだけは、なんの武装もしていない「私自身」でいられるから。おかげで、仕事でも少し肩の力が抜けた気がする。

 相変わらず料理は作れないし、部屋の片付けも下手くそだけど……ガクくんが元気になるまで、できるだけ頑張ろう。

 翌日もガクくんの体調はさほど変わりなく、熱も38℃手前くらいだった。
 いまはインフルエンザが流行っているから、病院も混んでいるみたい。いくつか電話をしてようやく予約が取れたのは、家から車で20分ほどかかるところだった。

「インフルもコロナも、陰性でしたぁ」

 病院の駐車場に停めた車内で待っていると、診察を終えたガクくんが安堵した様子で戻ってきた。

「そう、よかった」
「とりあえず鼻づまりとかの薬は処方されたので、隣の薬局でもらってきますね。もう少し待っていてください」

 そう言って、ガクくんは病院の隣にある調剤薬局へ小走りで向かった。
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