ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 寄り道せずに帰宅して、空腹だというガクくんのために、さっそく冷凍の鍋焼きうどんを作ることにした。
 こういうときに備えて、ガクくんは簡単に調理できる冷凍食品も買い置きしてくれている。そういうところも、配慮が行き届いているのよね。

「えーと……最初の3分は弱火で……」
「火加減、気をつけてくださいねぇ」

 パッケージの説明を読んでいると、リビングのソファで横になっているガクくんの声が飛んできた。
 最初は自分でやると言われたけれど、体調が悪い人を働かせるなんてできないわ。火にかけて温めるだけなんだから、いくら私が不器用でも失敗しないはず。

 ……弱火って、このくらいよね。どこからが中火になるのか、いまだによく分からない。
 あ、3分経った。次は、少し火力を上げて……うん、いい感じに煮立ってきた。

 お箸で具材と麺をつついてみると、ちゃんと解凍されている。全体がグツグツ煮立ってから、さらに弱火で1分煮込んで……よし、無事に完成。

「ガクくん、できたよ」
「わーい、いいにおい!」

 あら、少し調子がよくなってきたのかな。リビングのテーブルに鍋焼きうどんを置くと、ガクくんは鼻をクンクンさせた。

「どう? 味はする?」
「はい、昨日よりマシです」

 まだ鼻声ではあるけれど、美味しく食べられるのならよかった。
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