ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「あれ、彩女さんは食べないの? ふたつ買っていたと思うんですけど」
「あ、うん。2個同時に作る自信がなくて……先にガクくんだけ食べてもらおうと思って」
「あはは、さすがポンコツさん」

 この「ポンコツさん」という言葉。本来ならネガティブな意味だけど、ガクくんの場合は違う。私に対する愛情をとても感じる言葉で、まったく不快じゃない。
 それどころか、なんだか胸が温かくなる。ポンコツと言われて喜ぶなんて我ながらおかしいと思うけれど、彼の愛情表現だと思っているから。

 改めて自分の鍋焼きうどんを作って、ガクくんの隣に座った。彼はもう食べ終わって、満足そうにお腹をさすっている。

「はぁー、彩女さんが作ってくれたから美味しかったなぁ」
「冷凍のものを、ただ温めただけよ?」
「愛情がプラスされているでしょ。最強の調味料ですよ」
「なるほど……どうりで、ガクくんのごはんは美味しいわけだ」

 なにげなく言うと、ガクくんはオーバーリアクションで、胸に両手を当てた。

「んあ~! ものすっごくキュンとしたぁ!」
「え、え、いまので?」
「だって、僕の愛情をちゃんと感じてくれているってことでしょ? もはやキュンを通り越してギュンですよ」

 ギュン……よく分からないけれど、彼の心を掴んでいるのなら、まぁいい……かな。
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