ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「父親は公務員だし安定志向なんです。新卒で就職しなかったら大変になるって、うるさくて。それも分かるけど……どうしても、就職する気になれなくて」
「なるほど。私との同居は、お金の心配をせずに、執筆の時間を十分に取るためだったってことね」
「……打算的だったことは、否定しません」

 叱られた子どもみたいに、しょんぼりするガクくん。責めるつもりはまったくないのに、言い方がまずかったかしら。

「初めて会った日、帰り道で彩女さんが話していたでしょ。マンションも買ったし、十分すぎるくらいの収入があるから、結婚なんてまったく考えていないって」

 ……私、そんな話をしていたんだ。お酒が入っていたし、よく覚えていないんだけど。
 なんだか恥ずかしくなって、ごまかすようにティーカップを口に運んだ。

「それなら、面倒なことにはならなさそうだなと思ったんです。だからつい、ペットになるなんて言ってしまって……自分勝手で、ごめんなさい」
「謝らないで。いろいろ承知の上で同居を受け入れたんだし、すごく助かったのは事実だから。それに過程がどうであれ、いまは恋人として一緒にいるじゃない」

 あまりに申し訳なさそうな表情をするから、思わず子どもを宥めるようにガクくんの頭を撫でてしまった。
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