ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「……僕、彩女さんに撫でてもらうの、好きなんです」

 気持ちよさそうに目を閉じて、ガクくんが私の肩に頭を預けてくる。

「あの夜、玄関でキスをしたときに思いました。この人に触れられるの、すごく気持ちがいいなって。もっと近づきたい、もっと一緒にいたいって感じて」

 漫画やドラマだと、普通はきっと逆よね。女性が男性にもたれて、頭を撫でてもらう。だけどガクくんと私にとっては、これが一番落ち着くカタチなんだと思った。

「誰でもよかったわけじゃありません。打算的ではあったけど、僕は最初から彩女さんに惹かれていました。堂々としていて、真っすぐで……どんな人なのか、もっともっと知りたいと思ったから、誘いに乗ったんですよ」

 あのときガクくんを部屋に引き入れてしまったのは、達成感の反動からくる心細さのせいだと思っていた。

 でもいまは、そうじゃなかったとはっきり言える。私は最初から、ガクくんに惹かれていた。かわいくてふわふわしていて、包み込んでくれるような空気を感じたから。

 そして、その感覚は間違っていなかったと、すぐに実感したの。

 はっきりものを言うくせに他人の感情に敏感で、結構細かいところも気にしてしまう。その繊細さを柔らかい笑顔で隠して、誰に対しても穏やかに優しく接するガクくんのことが、どんどん好きになっていった。
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