ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「分かりました。嫌なことは、ちゃんと伝えますね」
「じゃあ、改めて訊くね」
「はい、どうぞ」
「ガクくんは家を追い出されたと言ったけど……あなた自身も、家を出たかったの?」

 ガクくんの顔から笑顔が消えた。やっぱり、なにかあるのね。
 結婚に対する冷めた発言といい、家族や家庭というものに思うところがありそうだということは、ずっと感じてきた。

 私なんかが触れてはいけない。そう思って気にしないようにしていたけれど、やっぱり少しでもガクくんの心に近づきたかった。

「小説を書いていきたいという気持ちは、よく分かったんだけど。それ以外にも、家を出た理由があるように感じたの。私の思い違いだったら、ごめんなさい」
「……やっぱり、彩女さんは鋭いですねぇ」

 またいつもの柔らかい笑顔に戻ると、ガクくんは頬を掻いた。

「話すのは嫌じゃないです。彩女さんには、知っていてほしいと思っています。ただ、少し長くなるかもしれないので……お茶を淹れなおしましょうか」
「あ、私が淹れてくるよ」
「もう体はキツくないから大丈夫なんですけど……彩女さんが淹れるハーブティーは美味しいから、甘えちゃお。今度はハイビスカスがいいでーす」
「はーい」

 こうしてすんなり甘えてもらえるとすごく嬉しい、なんだか安心する。
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