ワケありニートな年下ワンコを飼いました
分かってはいるの。娘の将来を心配しているからだってことは。
それでも、期待に応えられないことが心苦しくて。逃げるように、留学したり家を買ったりしていた。
だけど、もう目を背けるのはやめた。女は度胸よ。たとえ否定されたって、突き進むのみ。私の人生なんだから。
「えっとね、話したいことっていうのは」
「とりあえず、ゆっくりお茶でも飲まない? ほら、お父さんも」
さっそく話を切り出そうとしたら、母がダイニングテーブルにつくよう促した。
ついつい気が急いてしまったけれど、考えたら久しぶりの帰省だものね。いきなり用件を済ませようなんて、少し野暮だったわ。
「コーヒーを淹れようか。彩女は、ブラックでいいでしょ?」
「うん。ありがとう」
テーブルには、母の手作りマドレーヌが置かれていた。
これを食べるのも久しぶりね。米粉を使っていて、砂糖が控えめだから、とても優しい味。昔から全然変わらない。
そして母が淹れるコーヒーも美味しい。豆の挽き方とお湯の温度、蒸らし時間や注ぎ方、すべて計算されているから。
こんなふうになりたいと思っていた時期もある。完璧に家事をこなして、家族のために尽くすことが幸せだと感じる母親に。
でも、壊滅的に不器用な私には、必要以上に女性らしい喋り方をするのが精一杯。形から入っても中身がついていかない。
それでも、期待に応えられないことが心苦しくて。逃げるように、留学したり家を買ったりしていた。
だけど、もう目を背けるのはやめた。女は度胸よ。たとえ否定されたって、突き進むのみ。私の人生なんだから。
「えっとね、話したいことっていうのは」
「とりあえず、ゆっくりお茶でも飲まない? ほら、お父さんも」
さっそく話を切り出そうとしたら、母がダイニングテーブルにつくよう促した。
ついつい気が急いてしまったけれど、考えたら久しぶりの帰省だものね。いきなり用件を済ませようなんて、少し野暮だったわ。
「コーヒーを淹れようか。彩女は、ブラックでいいでしょ?」
「うん。ありがとう」
テーブルには、母の手作りマドレーヌが置かれていた。
これを食べるのも久しぶりね。米粉を使っていて、砂糖が控えめだから、とても優しい味。昔から全然変わらない。
そして母が淹れるコーヒーも美味しい。豆の挽き方とお湯の温度、蒸らし時間や注ぎ方、すべて計算されているから。
こんなふうになりたいと思っていた時期もある。完璧に家事をこなして、家族のために尽くすことが幸せだと感じる母親に。
でも、壊滅的に不器用な私には、必要以上に女性らしい喋り方をするのが精一杯。形から入っても中身がついていかない。