ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 ずっとずっと後ろめたくて、申し訳なくて。ふとした瞬間に、自信を持てない自分が顔を出してしまう。

 だけど、それも今日でおしまい。私は自分の人生を歩む。ガクくんと一緒に、自信を持って進まなくちゃ。

「はーい、どうぞ」

 深呼吸したくなるような落ち着く香りとともに、琥珀色で満ちたカップが目の前に置かれた。やっぱり、コーヒーメーカーで淹れるのとは大違いね。

 向かいに座る父には、ミルクたっぷりのコーヒー。そういえばガクくんもミルクを入れないとコーヒーが飲めないし、父と味覚が似ているのかもしれない。

「相変わらず、仕事は忙しいの?」

 自分のカップを持って父の隣に座りながら、母が言った。

「いまは、そこまで。プロジェクト期間中は、終電になることが多いけど」
「ちゃんと食事はしているの? いつもデリバリーなんでしょ」
「うん、えっと……」

 どうしよう、ここでガクくんのことを話す? だけど結婚を期待させてしまうかもしれないし……できるだけ、順序よく説明したいのよね。

「もう子どもじゃないんだから、自分できちんと考えているだろう」

 まごまごしていると、父が助け舟を出してくれた。なんとなく、私が話しづらそうにしているのを察してくれたんだろうな。

 どちらかというと、いつも父のほうが空気を読んでくれる。逆に母は細かいことを気にしない性格だから、バランスはいいのかもしれない。
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