ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 軽く肩をすくめて、もうこの話は終わりという様子で、母がコーヒーを口にする。一度大病を患っているからなのか、ストレスを溜めないよう、以前よりも大雑把に拍車がかかっているのよね。

 自分のやりたいことを伝えたら、落胆されるかな。
 一瞬揺らいでしまったけれど、ガクくんの顔が頭に浮かんで、また気持ちを立て直した。

 自分のためだけじゃないんだから。弱気になっていたらダメ。丁寧に説明すれば、きっとわかってくれるはず。
 私は意を決して、口を開いた。

「……あのね。私いずれは、いまの会社を辞めるつもりなの」

 両親が目を丸くする。激務ではあるけれど、収入も含めて最高の待遇を提供してくれる会社を辞めるなんて、ふたりからすれば有り得ないことなんだと思う。

 口を開きかけた母を、父が手で制した。まずは、私の話を最後まで聞こうとしてくれているみたい。
 自分の目標や正直な気持ちを、きちんと言葉にしなくちゃ。

「会社に不満があるわけじゃなくて……起業を目指しているから。私、ずっと昔から、自分で事業を興こしたいって思っていたの」

 クライアントだけでなく、働いてくれるスタッフやその家族、みんなが幸せになれるような会社を作りたい。それが私の夢だった。
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