ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 私はガクくんの両手をしっかり握って、瞳を見つめた。

「大丈夫。なにがあっても、私はガクくんのそばにいるから」
「彩女さんの言葉って、なんだかすごくエネルギーがありますよね」
「当たり前でしょう。本気で思っているからよ」

 ガクくんが手を握り返してくれる。力強いのに、とても優しい。

 きっと家族と和解できると信じているけれど、たとえ絶縁することになったとしても、私は絶対にこの手を離さない。そのことだけは、しっかり伝えておきたかった。
 
「もうちょっと、エネルギーをください」

 そう言って、ガクくんは唇を寄せてきた。
 やっぱり、すごく心地いい。遺伝子の型がかけ離れているほど相性がいいという話は聞くけれど、私とガクくんもそうなのかな。

 しばらく唇を重ねたあとは、抱き合ってお互いの体温を確かめた。
 
「……ねぇ、彩女さん。気がついていますか? 正式に恋人になってから、僕たちまだ一度もセックスしていないんですよ」
「え、そ、そうだったっけ」
「そうです。僕が風邪をひいちゃったせいなんですけどね」

 そうだ。私は生理になって、そのあとガクくんが風邪でダウンしちゃったから。ここ1週間くらいは、キスをするのも控えていたのよね。

「だけど、もう完治しましたよ」

 その先は、言葉にしなくても分かる。
< 212 / 278 >

この作品をシェア

pagetop