ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「本に、サインをしてほしいの」

 ……え、待って待って。僕のサインが欲しい? それで、もじもじしていたの?
 うわぁ、なにそれー! やばい、キュンを通り越してギュンだ!

「かーわーいーいー! 彩女さん、それかわいすぎですって!」

 思わず足をじたばたさせる。
 この人は、どうしてこんなに魅力的なんだろう。一見クールでドライな雰囲気なのに、中身がめちゃくちゃかわいい。

 なにが僕のツボだったのか、本人は理解していないみたいだけど。そういう鈍感なところも大好きなんだよね。

「はぁ~もう……サインくらい、お安い御用ですよ」

 僕の反応に戸惑い気味の彩女さんから、本とサインペンを受け取った。
 最初のページに、雅空という漢字を崩したものとスマイルマークを書く。そして日付に加えて「彩女さんへ」と名前も入れた。

「かわいいサインね」
「名前を崩しただけだと味気ないかなと思って、ニコちゃんマークも書いています」
「ありがとう。作家さんにサインをいただくのって初めてだし、嬉しい」
「やったぁ、彩女さんの『初めて』ゲットー!」

 どんなことでも、好きな人の「初めて」は嬉しい。こんな幸せを知ることができたのも、彩女さんと出会えたからだ。

 よし、決めた。これから本を出版するときは、最初に必ず彩女さんへサイン本を送ろう。

「じっくり読ませてもらうからね」

 この笑顔が、僕のモチベーション。彩女さんが笑うなら、なんだって頑張るよ。
 ……あ、またアイデアが湧いてきた。よし、あとでネタを書き出すぞー!


***おわり***
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