ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「背も小柄よね。彩女と並んで、ほとんど変わらなかったように見えたけど」
「うん。ヒールを履いたら、私のほうが高くなるかな」

 でも、私はそれを気にしたことはなかった。
 ガクくんはたまに「もうちょっと身長が伸びないかなぁ」なんて言っているけれど、別にコンプレックスを感じているわけではなさそう。

 ほとんど身長差がない人と付き合うのは初めて。目線が同じなのって、妙な安心感があるのよね。見上げなくてもガクくんの顔が隣にある。それだけで嬉しいの。

「あらゆるスペックが、これまでの彼氏とかけ離れているよなぁ」
「あら、凌也。ヤキモチ?」
「まーた凛子はそういうことを。俺は怜奈(れな)一筋だって言ったろ? もうすぐ父親にもなるし」

 そうそう。年明けに、凌也の奥様――怜奈さんの妊娠が分かったのよね。
 おめでたい話に、すかさずマスターが食いついた。

「それは、おめでとうございます。予定日はいつなんですか?」
「9月です」
「うちと同級生になりますね」
「え、そうなんでか?」
「はい。うちは来月下旬です。奥様のご体調は、大丈夫ですか?」
「つわりはひどかったんですけど、もうすっかり落ち着いて、順調にいっています」

 マスターと凌也の子どもが同級生か。新米パパ同士、話が合いそうね。
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