ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 話し合うにしても、自分の気持ちを明確にしないといけない。ガクくんは、お父様やご家族になにを求めているのか。自分はこの先、どうしたいのか。

 ガクくんが家を出たのは、小説家としての活動をお父様に否定されて、これまで抱えてきたものが抑えられなくなったからだと思う。
 行動原理が感情優先になると言っているし、とにかく現状から逃れたいという想いが強かったんじゃないかな。

 彼の気持ちとして明確なのは、小説を書いていきたいということ。そして、自惚れかもしれないけれど……私と、ずっと一緒に生活していきたいと思ってくれていること。

 そのうえで家族とどういう関係を築いていきたいのか、きちんと考えたほうがいいと思った。

「……私はね、両親と分かり合おうとは思っていなかったの」

 無言で俯くガクくんの膝に手を置いた。真っすぐで透き通った瞳が、私に向けられる。

「母たちとは違う価値観を持っていると、理解してほしかっただけ。説得じゃなくて、ただ伝えようと思ったの」
「自分がやることを、応援してもらおうと思ったわけじゃない……ってことですか?」
「うん」

 やっぱり、ガクくんは察しがいい。1から10まで説明しなくても、私が言いたいこと、自分がなにを考えるべきなのかを理解している。
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