ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「就活をしなかった理由は聞いたけど、だからってどうして働かないの?」
「僕、大学を卒業したあとは、アジアを中心に海外を放浪していたんです。それで数か月間、日本の外へ出ていたら、余計に働きたくないなぁって思っちゃって」
「勤労は、国民の義務よ」
「だから、彩女さんに飼われたいんですよ。ペットには勤労の義務がないから、僕はペットになります。なんでも言うことを聞くペットに」

 なんだろう。とても大事な部分をはぐらかしながら、話をされている気がする。

 それに家政夫を雇うのとは、わけが違う。「飼う」とか「ペット」という言葉に、とても不健全な響きを感じるのだけど。

 ただ、昨晩ガクくんとキスをして体を触られたとき、とても満たされた気持ちになった。

 結婚も恋愛もしなくていいと思っているはずなのに、性的欲求は満たしたいなんて。自分が浅ましくて、罪悪感がこみ上げてくる。

 ガクくんになにも言えないでいると、彼のスマホが鳴った。

「あれ、涼介さん。もう店に来ているんだ。いま? 彩女さんの家にいるよ」

 待って待って。マスターからの電話?
 どうして私の家にいることを言ってしまうのよ。あぁもう、お店へ行くのが気まずくなるじゃない。

 ガクくんは、ハイハイと何度か頷いたあと、すぐに電話を切った。

「彩女さん、お店に腕時計を忘れているみたいですよ」

 そういえば、お店で外した記憶がある。きっと、カウンターに置きっぱなしだったんだ。
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