ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「自分の好きなこと、得意なことで喜んでくれる人がいる。それが嬉しいと言っていたよ」
「そうか……」

 マスターの言葉に、お父様の表情が柔らかくなったように見えた。

「できましたよぉ! チキントマトビスク&ガーリックライスでーす」

 ガクくんが、眩しい笑顔とともにお皿を運んできた。

 目の前に置かれた料理を見て、思わず生唾が出そうになる。
 ビスクの横にガーリックライスを添えて、カレーライスのようにしたのね。とっても食欲をそそる香りだわ。

「美味しそうね。いただきます」
「いただきます」

 お父様も、私と同時に両手を合わせる。
 ガクくんは自分が作った料理であっても、必ず両手を合わせて「いただきます」と言う。それは作った人だけじゃなく、命に対する感謝の印。お父様から、そう教わったと言っていた。

 ちゃんと親子の絆はつながっている。足りないのはきっと、会話だけね。

「お父さんも彩女さんも、遠慮せずに意見を言ってね。お店のメニューだから、きちんとしたものを出さなきゃいけないし」

 少しだけ緊張気味のガクくんに見守られて、料理を口に運んだ。
 クリーミーな味わいのビスクと胡椒のきいたガーリックライスが絶妙にマッチしていて、とても美味しい。これは、かなりクセになりそうだわ。
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