ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 私はこんなにも愛されているのね。彼が、なにげない日常を特別なものに彩ってくれる大切な存在であることを、改めて実感した。

「僕にとっては、彩女さんと一緒にいることが最優先で、その中で自分のやりたいこと……小説の執筆をやっていこうと思っていて。でも、お父さんにそれを許してもらいたいわけじゃないんだよ。許されようが許されまいが、僕は自分の責任で、自分の人生を生きていく。それを伝えたかったんだ」

 言い終わると、ガクくんはどこか満足そうな表情で、ひとつ頷いた。
 お父様に、自分の素直な気持ちを伝える。ちゃんとできたじゃない。結果はどうであれ、きちんと向き合えたことは大きな一歩だわ。

「……結局、甘えたまま生きていくというわけか」

 少しの沈黙のあと、お父様が言った。

「他人に甘えながら、自分のやりたいことをやる。それが、お前の生き方なんだな?」
「お父さんから見たら、そうだろうね」
「誰から見ても、そうだろう。パートナーと一緒にいたいが定職には就きたくない、好きなことだけしていたい。親として、そんなことを後押しするわけにはいかない」

 空気がピリッとする。
 だけどガクくんは、もう怯んでいない。きっと子どものころから抱えていた想いをお父様に吐き出せたから、心が軽くなったのね。
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