ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 お父様が認めてくださらないことも想定していたんだろうな。
 最初は理解してもらわなきゃと気負っていたけれど、いまはなにがあっても自分で決めた道を進むという覚悟が決まったみたい。

「家に自分の居場所を感じられなくて、なにもかも投げ出して出てきてしまったから……そのことは、申し訳ないと思っているよ。だからきちんと伝えようと思って、連絡したんだ」

 迷いのない表情のガクくんが、妙に大人びて見える。うん、かっこいい。

「僕は家に戻る気はありません。僕の居場所は、ずっと彩女さんの隣。たとえ稼げなくても小説は書き続けるし、僕にできることで彩女さんを支えるって決めたから」
「……そうか。それなら、これ以上話をしても平行線だろうな」

 感情が読み取れない表情と声で、お父様が言う。
 仕方ないわよね。お父様はお父様で、これまでさまざまな経験をして培ってきた価値観をお持ちだもの。家族であっても、相容れないことはある。

 ろくに話し合いもせず、喧嘩別れになるよりマシだわ。ガクくんの気持ちは伝わっただろうし。時間をかけるしかない。

 そう思っていると、お父様が突然料理を食べはじめた。ガクくんとマスターは、目を丸くしている。

「雅空。この料理は、テイクアウトできるのか?」
「へっ?」

 ガクくんが素っ頓狂な声を上げた。
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