ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 実の母親のことは、ずっと心に秘めているんだと思う。だけどそれはどうしようもないことで、彼自身がコントロールしなくちゃいけないこと。
 
 すべてをクリアにするのは難しい。だから自分の気持ちや周りの状況と、上手に折り合っていかないとね。

「……なんか、不思議ですよねぇ」

 ピーチティーを味わいながら、ガクくんがしみじみ言った。

「初めて会った日……の、翌朝か。同じように向かい合ってカフェオレを飲んでいたときは、まさか彩女さんとこんな関係になるとは思っていませんでしたよ」

 あの日のことは、よく覚えている。だって人生で初めて、異性を「お持ち帰り」してしまったんだもの。
 ギリギリのところで一線は越えなかったけれど、いま思い返しても、どうしてあんな行動を取ってしまったのか不思議でならない。
 
「それは私も同じよ」
「でしょうねぇ。僕の告白を2か月もスルーしていたしー」

 相変わらずガクくんは、グサッと刺してくる。

「もう、蒸し返さないでよ。根に持っているの?」
「持っていますよぉ。彩女さん、鈍すぎるんだもん。でも何度も言っているように、そういうところも好きなんですけどね」
「そう言ってくれるのは、ガクくんだけよ」

 これまでの恋人は、この鈍さに辟易していたもの。だからいつも、私が原因で別れていたのよね。
< 273 / 278 >

この作品をシェア

pagetop