ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「一緒に歩こうね。私たちだけの道を」
「はい、ずっと一緒ですよ」

 こうして手を握って肩を寄せ合うだけで、どんどんエネルギーが湧いてくる。
 
 心の底から認めてもらって、自分たちの足でしっかり歩むために。私も頑張らなくちゃ。
 誰のものでもない、私たちふたりの道。大変なことや辛いことは、たくさんあるはず。だけどガクくんと一緒に、どんな困難でも乗り越えてみせる。

「……あのぅ、チューしたいんですけど」

 ガクくんが甘えた声で言った。こんなふうにねだられると、ほとんど条件反射のように頷いてしまう。
 
 顔を見合わせて、唇を重ねる。ピーチティーの甘い香りが、とても心地いい。
 初めて会ったあの夜に交わしたキスも、こんなふうに温かくて、心が満たされた。思えば、それが私の恋のはじまりだったのかもしれない。

「彩女さん。僕を飼ってくれて、本当にありがとうございます」

 しばらくして唇を離すと、ガクくんは微笑んだ。

「こちらこそ。私に飼われてくれて、ありがとう」

 もうとっくに、ご主人様とペットという関係ではない。だけど自分の直感を信じて、「飼ってほしい」というガクくんを受け入れたことが、私の転機になった。
 秘密が多くてミステリアスなペットだったけれど、人生を大きく変えてくれたんだもの。感謝しかないわ。
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