ワケありニートな年下ワンコを飼いました
癒しのホリデーシーズン
 ガクくんとの同居生活を開始して、まもなく1か月。
 街はすっかりクリスマスムード一色になって、いたるところでサンタクロースの姿を目にするようになってきた。

 あれから、ガクくんとは何度も体を重ねている。
 だけど、彼が覚えたての快楽に溺れるようなことはなくて、常に私の体調や気分が優先。ガクくんにとって、私は常に「ご主人さま」なんだろうな。
 
「彩女さん、お正月はどうするんですか?」

 ある日の夕食時、ガクくんから訊かれた。そういえば、年末年始の予定について、なにも話していなかったわね。

「ご実家、三鷹なんですよね。帰るんですか?」
「ううん。両親は、兄たちと箱根に行くから。商店街のくじ引きで宿泊券が当たったらしくて、駅伝が観たいって。この前まで携わっていたプロジェクトは、トラブルが発生したら越年する可能性もあったし、私は遠慮しておいたのよ」

 まぁそれは、半分建前なんだけど。だって、両親と兄夫婦の旅行に自分が加わるなんて、どう考えても場違いなんだもの。

 兄夫婦との関係は良好なんだけど。いまは小さな子どももいるわけだし、私のように不器用で役立たずの人間がそばにいたら、逆に邪魔だろうと思ってしまうのよね。

「じゃあ、一緒に過ごせるんですね」

 ガクくんが、心底嬉しそうにニコニコしながら言った。
 彼も実家に帰らないんだろうし、やっぱり断わっておいて正解だったわ。
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